SynBioポータル

合成生物学(Synthetic Biology)のポータルサイトです

新たな産業革命の中核となる「合成生物学」の最新情報、有用性、可能性、振興策、安全性について、社会との関係も含め議論していきます。

バックナンバー2024年4月

牛乳とイルカから鳥インフルエンザウイルス検出
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このところ、米国で市販されている牛乳から鳥インフルエンザウイルスの残骸が検出されたことが報道されています。 この報道については、正式な論文発表もなく、政府系機関からの発表や専門家の見解が主なものになっています。 📌そんななかで、この「鳥インフルエンザ:米国の牛で蔓延する中で、科学者たちが答えようとしている4つの大きな疑問」というNPRの記事はリンクも充実しており、その理解に役立つものとなっています。 https://www.npr.org/sections/health-shots/2024/04/26/1247479100/bird-avian-flu-cows-cattle-milk-virus-unanswered-questions
 
上海合成生物学イノベーションセンター設立
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4月15日、上海で上海合成生物学イノベーションセンターの除幕式を開催というニュースがありました。 上海は中国での合成生物学の中心地とみなされており、2008年に中国科学院合成生物学重点研究室が上海に設立され、2019年には上海合成生物学イノベーション戦略同盟が上海交通大学と中国科学院上海生物科学院の共同で設立されました。上海にある復旦大学や上海師範大学なども、合成生物学関係の組織を持っています。 以下、この記事の日本語訳です。 上海、4月15日(新華社通信) - 中国東部の大都市のこの「未来の産業」のイノベーションと発展を促進する目的で、上海合成生物学イノベーションセンターが日曜日に除幕された。産業サービス機関と合成生物学イノベーションパートナーが共同で立ち上げたこのセンターは、国内外の科学研究機関、非営利団体、大手企業と幅広く協力し、合成生物学の分野で世界的な取り組みを行うとしている。同センターの戦略開発委員会の責任者であるJin Qinxian(金勤献)氏は、同センターには人材の収集、イノベーションの促進、産業の拡大という3つの目標があると述べた。上海は合成生物学産業の発展を非常に重視しています。 2023年9月にはインフラ整備、新たな研究開発機関の設立、基礎・応用研究の強化を目的とした行動計画を発表した。
 
経団連のバイオトランスフォーメーション(BX)の課題
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4月16日、経団連が「バイオトランスフォーメーション(BX)実現のための重要施策」という文書を公開しました。これは、2024年6月公表予定の次期政府バイオ戦略策定に向けて、とりわけ重要な施策を提言するというものであるようです。 これは、日本のバイオ産業の将来にとって重要な指針となるものでしょう。しかしながら、現状では多くの課題も存在します。今回は、BX提言の内容を踏まえ、日本のバイオ産業が抱える問題点と、未来への展望について考察します。 昨年3月に公開された「バイオトランスフォーメーション(BX)戦略」では、「現ロードマップは「技術」や「市場」の区分で描かれており、 バイオエコノミーが解決しうる「課題」との関係不明瞭」「ターゲットが2030年と比較的短期であり、ホワイトバイオ など大型の設備投資において投資対効果の予見可能性 が低い」といった課題があったとしています。その上で、このBX実現のための重要施策では、「2040年や2050年など長期をターゲットとして「課題」別に 達成すべき道筋に技術や市場をバックキャストしてプロットする「課題オリエンテッドな」ロードマップを策定」というのがポイントのようです。
 

by 山形方人(Masahito Yamagata)